menu


日本民藝館のほど近くにあるDOUGUYAにて個展「PULL」を行いました。DOUGUYAは日本の古家具を扱うお店です。
会期は2020年6月19日から22日までの四日間。コロナによる影響で発令された緊急事態宣言が解除された直後でした。
展示はどこもかしこも中止または延期となり、webを使った形式の展示が数多く開催されていました。
僕自身も緊急自体宣言発令前後はたくさんのweb展示を見て過ごしていました。
個々のWEB展示、インスタ展示、動画配信の展示、VRを用いた展示、中にはゲーム内での展示まで。
これらは個展やグループ展などの小規模な展示から、アンデパンダン展、アートフェアやクラフトフェアなど
大規模な展示まで多種多様で、 当初は新しい展示の形だなと興味津々でweb展示を巡っていました。
しかし、徐々になんとも言えない物足りなさが蓄積されていきました。実体験が足りなかったのだと思います。
DOUGUYAでの個展は心に引っかかっている物足りなさを埋められるような展示にしたいと思いました。
「PULL」はタイトル通り引く動作から鑑賞が始まります。初動から終わりまでの導線上では常に実感が伴う構成です。
DOUGUYAのみんなと開催前夜、何度も流れの確認をしていました。アーデモナイ。コーデモナイ。と。
展示がはじまってからも毎日閉店後の反省、更新。展示を作るというよりも舞台を作るような感覚だったのかもしれません。
DOUGUYAの手がけた舞台美術に僕の作った小道具があるような。
今回はコロナの影響もあって入場者は2組まで、3組目以降の方は待合室で待っていただきました。
展示空間のすぐ隣の、いつもは作業場として使われている部屋を店主の中村くんが待合室にしてくれました。
そこにはたくさんのDOUGUYAの古家具が並び、僕が持ってきた本が積まれ、お茶が出てきます。情報過多気味な待合室。
その後案内する展示空間は、待合室とは対象的に中心にドカンと大きな黒い棚があるだけ。
「作品は全て引き出しの中に収まっています。実際に引き出しを引いていただき中の作品を鑑賞してください。」
そう説明を終えお客さんが引き出しを引いた時、展示が完成したと思いました。

場所 DOUGUYA
期間 2020年 6月19日−22日

店主 中村鷹聖
スタッフ 溝江碧美
スタッフ 高木翔
DMデザイン 安齋朋恵
写真 中村鷹聖