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白日にて3回目の個展を行いました。
二度あることは三度ある。石の上にも三年。三度目の正直。
日本語には三のつくことわざが多いような気がします。三は特別な数字なのでしょうか。
僕にとっても三回目の展示はどこか特別な思いがありました。
その訳は今回はじめて発表した銀箔七宝を制作したことがきっかけです。
銀箔七宝は今までの作品を改めて考え直すいいきっかけとなりました。
僕の作る七宝焼は一般的な七宝焼とは違います。
一般的な七宝焼は様々な色の釉薬を使って鮮やかな図柄を作り出す装飾性の高い技法です。
対して僕の作る器は単色で無地、装飾性はありません。
“装飾性の高い七宝焼の技法で、日常で使うような器を作る”
そんな天邪鬼な考えで器を作りはじめました。きっと今までに見たことない器が出来るのでは、と。
3年が経ち作り続けた器は、見たことない器から見慣れた器になっていきました。
そこで装飾性を避けてきた器に装飾したらどうなるのか。という実験をしてみました。
完成したのは一般的な七宝の器とはまた違う、装飾性も纏った器。
天邪鬼を天邪鬼で煮詰めたような器が完成しました。
七宝焼で器を作る理由を改めて考える機会となりました。

今回はじめて展示空間を店主の西坂さんと作りました。
当然のことですが、展示するギャラリーやお店によってその場所の個性があります。
中でも白日は個性が強い店です。空間もホワイトキューブではなく古い洋館の作りですし、
店主のモノの見せ方、モノの配置、展示方法も一貫したこだわりがあります。
ひとつ例を挙げると、テーブルにポツンと置くような余白を持たせた展示はあまりしません。
お客さんが選べる量をしっかり置きます。その上でリズムがある配置をします。
ギュッと配置するけど窮屈に感じない。
店主が以前ラッパーだったことに起因しているのかもしれません。
この展示方法は白日の空間と合わさると強度が出ます。見応えのある展示になります。
白日でしか出来ない展示だから、過去二回は郷に入れば郷に従えと思い全てをおまかせしていました。
三回目にして郷に従わず郷と協力して展示を作りました。
でも、白日に僕が介入して生まれるのはちょっとした違和感くらいなのかもしれません。
いつもの白日となにか違う。そんな少しの違いを作ることをどうしようもなく大事に思っています。

場所 白日
期間 2021年 2月27日−3月8日

店主 西坂晃一
弟子 山本麻い子
ポスターデザイン サイトヲヒデユキ
展示写真 Gu Kenryou